(文 森富子)
Part 11

芥川賞の腕時計をした森敦(62歳)。
 「週刊読売」(昭和49年6月22日発行)のグラビア「時計と私」に登場した5人のうちの1人。タイトルは「芥川賞の腕時計」で、撮影は読売新聞社出版写真課。週刊誌に掲載されなかった写真。「室にはこの時計を含めて、五つあるんです。腕が二つ、懐中に目覚まし、それから体の中にもひとつあるんです。前の夜どんなに遅く寝ても朝六時半になると必ず目がさめるんです。目覚まし時計よりこの体内時計のほうがずっと正確ですよ」と語っている。「森敦関連記事」の「芥川賞の腕時計」参照。
芥川賞の腕時計をして原稿を書く森敦(62歳)。
 撮影は、前掲写真と同じ。
「わたしの憩い」 森敦(63歳)。
 ナイガイの広告に文章とともに掲載された写真。「週刊文春」(昭和50年1月15日発行)に掲載された文章を、短いので以下に掲げる。
〈駅(注・京王帝都電鉄京王線の布田駅)近く材木置場がある。欅か榎かわからぬが、切り倒された大木の幹が、古材になったまま、忘れられたように積んである。ぼくはときに軽いセーター姿でここに来て、あの車窓に見る武蔵野に、冬の日差しを浴びて蕭条と立ちながらも、あるいは梢を平に刈り込んだような姿で、あるいは丸く枝を伸ばしたような姿で散在しているのを思いだし、だれかがまだ詣りしているらしい祠や、その裏の落雷に打たれた枯れた大木のあるあたりまで歩を運ぶ。(『全集第七巻』)〉
「そろそろ頭を冷やそうよ」 森敦(64歳)。
 「週刊文春」(昭和51年9月9日発行)のグラビア「頭を冷やそうよ」に掲載の5人のうちの1人。撮影がすんで帰宅したとき、「やらせでね」と呟いていた。グラビアに載った談話を、以下に掲げる。
〈「ボクはこれでも若い頃はよく滝にあたったり泳ぎをしたもんですヨ 今は歳もとったし医者が止めるんでほとんどやらないけどね ボクの小説の舞台になった月山には滝はいっぱいありますヨ このごろは滝にあたる修行なんてあまりやらないけど まえには加行という厳しい修行があってね 瀬戸内晴美さんが出家した時にそれをやりました いまの坊主は滝に打たれるかわりに風呂で水浴びしてるけどね アア とにかく気持がいいなア」〉
「そろそろ頭を冷やそうよ」 森敦(64歳)。
 前掲写真と同じ。
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