088 分からなくても分かる!
出典:正法眼蔵拝読全集パンフレット 昭和55年12月
 僕のところによく電話をかけてくるご婦人がありましてね。その方は何か人生に煩悶を持っている方で、あれこれを本を読んでみたりされていたのですが、ある時、『正法眼蔵』を買って来て読み始めたと言うんです。
 あんな難しい本を読んで分かるんだろうかと思っていましたら、その方はたとえ一日に一行でも二行でも、ともかく声に出して読んでいくんだそうです。不思議なことですが、それから、そのご婦人の電話の調子が少しずつ変ってきました。煩悶が溶けてきたんでしょうか、とても声が明るくなって、何かこの人生に大きな意義を見い出されたようなんですね。
 ですから、この『正法眼蔵拝読全集』によって、まず耳から聴かせていただき、声に出して読むということには、非常に大きな意味があるのではないでしょうか。(談)
↑ページトップ
森敦インタビュー・談話一覧へ戻る
「森敦資料館」に掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。