004 芥川賞 森・野呂氏に
出典:朝日新聞 昭和49年1月17日(木)
 第七十回芥川賞・直木賞選考委員会は十六日夜、東京・築地の「新喜楽」で行われ、芥川賞は森敦氏の「月山」と野呂邦暢氏の「草のつるぎ」の二作、直木賞は受賞作なしと決まった。
 正賞時計と副賞三十万円。受賞式は二月六日午後六時から、東京・新橋の第一ホテルで行われる。
 森氏は六十一歳、旧制一高文科中退、現在近代印刷株式会社勤務。現住所は調布市布田三ノ五ニノ五、やよい荘内。横光利一に師事し、昭和十年ごろ新進作家として毎日新聞に連載小説を発表したこともあるが、その後中央文壇では長らく沈黙を守っていた。
 野呂氏は三十六歳、長崎県立諫早高校卒。現住所は長崎県諫早市仲沖町六五八。「鳥たちの河口」などで、いままでに五度、芥川賞候補になっている。
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