082 気の合う仲間と味な店 憂陀
師弟ダブル受賞の記念に
岩波ホール総支配人 高野悦子  作家 森 敦  作家 新井 満
出典:週刊朝日 昭和63年4月1日
 森敦先生とお目ににかかったのは九年前、岩波ホールが「月山」(村野鐵太郎監督)を上映したときだった。新井満さんとも、そのとき以来のおつきあいである。満さんは、森先生に触発されて組曲「月山」を作曲し、やがて小説も書き始めた。
 森先生は真の教育者だと思う。私も先生に励まされて文章が書けるようになり、何冊かの本を出すことができた。
 今夜は、先生と満さんが昨年の野間文芸賞と新人賞をそろって受賞された、そのお祝いの会である。この師弟のダブル受賞が、私にはわが事のようにうれしいのだが、お二人は、満二十周年を迎えた岩波ホールのために乾杯、と言ってくださる。
 「憂陀」は私の好きなお店だ。モーツァルトのレコードの収集家として知られる金森さんご夫婦は、映画大好き人間でもあって、私やホールのスタッフが行くと、さりげなく映画音楽が流れてくる。
 仕事場からは近いし、食事が済んだ人も、お腹がすいている人も共に満足のできる、私にはなくてはならないお店である。
(高野悦子)
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