099 会員訃報
出典:文芸家協會ニュース No.456 平成元年8月
森 敦氏 七月二十九日、腹部大動脈りゅう破裂のため東京都新宿区の東京女子医大病院で死去。七十七歳。
 熊本県生まれ。一高中退。菊池寛に見出され、横光利一に師事、昭和九年、その推薦で「酩酊船」を毎日新聞に連載して世に出た。太宰治、檀一雄らと「青い花」を創刊したが、土木作業員などをしながら全国を放浪、四十年間の沈黙ののち、四十八年、「季刊芸術」に発表した「月山」で第七十回芥川賞を受賞、六十一歳のときのことで話題を呼んだ。六十二年「われ逝くもののごとく」で野間文芸賞を受賞、ほかに「鳥海山」「意味の変容」「わが青春わが放浪」などの著書がある。去る六月「浄土」を刊行、「文学界」八月号から「君、笑フコト莫レ」の連載を始めたばかりだった。
 遺志によって葬儀は行われず、弔電により協会の弔意を表した。
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