092 よみものガイド
   『十二夜』森 敦著
出典:朝日新聞 昭和62年8月30日(日)
 月山のふもと、注連寺で自分の人生を語った講演集。幼いころ、父の下で論語の素読と柔道を習わされた著者は、京城中学から一高へ進むと共にダンディズムとデカダンスに染まり、一高を退学。横光利一に師事して文学開眼するが、松本をふり出しに十年働いては十年遊ぶ放浪生活をつづける。「生涯を気の趣くままに貫こうと思った」という著者の起伏に富んだ生き方が、論語の言葉を随所に挿入しながら、淡々と述べられている。(実業之日本社・一、六〇〇円)
 
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