111 連作に装画の新しい魅力
   高山辰雄「聊斎志異」展
出典:昭和53年1月23日(月)

高山辰雄「夢の結びU」(『聊斎志異』から)
 日本画の第一線作家・高山辰雄氏が、中国清代の小説『聊斎志異』をテーマにしたパステル画の連作で、二十八日まで、東京・京橋一ノ五ノ一二「ギャラリーヤエスの二会場を使って、個展を開いている(日曜休み)。
 この連作は、さきに小説家・森敦氏が現代ふうに『聊斎志異』を書き改め、「潮」誌上に二十回連載したおり、「表現も形式も自由に描いてほしい」と装画の制作を依頼されて、高山氏はこれまでほとんど手がけたことのなかったパステルで、この怪奇と幻想に満ちた世界を絵画化したもの。パステルの連作は六十一点に及ぶが、この画家は、華麗なゆたかさをみせる色彩を駆使して、東洋的な深い情感をたたえた文学的な世界をみごとにとらえ、装画美術としての新しい魅力を生み出した。

↑ページトップ
森敦関連記事一覧へ戻る
「森敦資料館」に掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。