072 『われ逝(ゆ)くもののごとく』森敦著 (講談社)
川村 二郎(東京都立大教授・独文学)
出典:聖教新聞 昭和62年7月1日(水)
 名作『月山』を十余年前に発表した著者が、舞台を同じ出羽の庄内地方に設定して、戦中から戦後の日々を通じてこの地に生き死にする人間たちの運命をたどった大長篇小説。数奇な人生変転の物語として読んでも十分に興味深いが、生と死の永遠の循環についての著者自身の認識が物語を一貫して支えており、作の奥行きを深めている。
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