104 文芸時評(抜粋)
竹田 青嗣(文芸評論家)
出典:静岡新聞 昭和63年12月31日(土)
 今月、ずらりと並んだ短編からひとつ取るとすれば、森敦の「吹きの夜への想い」(群像)ということになる。これはいわば彼の「月山」を注釈するような作品だが、民俗的な信仰の世界と作家の死生観がエロス的な幻想の中で溶け合った、鮮やかな短編の世界を作り上げていた。
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