038  ◎森敦著『星霜移り人は去る』
出典:朝日新聞 昭和55年1月14日(月)
 処女作「酩酊船」一作を残して文壇を去り、流浪すること数十年、「月山」で復帰した筆者の「わが青春放浪」回想記である。中学時代の文芸講演会で、菊池寛とのユーモラスなやりとり、横光利一や中山義秀との出会いなどがひょう然と描き出されている。最後に北川冬彦氏の本文への史的誤りが手紙形式で加えられ、筆者の人物像を興味深いものにしている。
(角川文庫・三〇〇円)
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