041 私家版聊斎志異
出典:新潟日報 昭和54年4月2日(月)
 <内容>中国の清代に蒲松齢の書いた怪異小説集「聊斎志異」のなかから著者が選び、著者流にアレンジしたのが本書。戦場で死体の脳みそを食うもののけの話である「想い幽かに」から始まり、キツネの変身した娘との恋を描いた「笑いのこぼるるがごとく」までの十九話。とくに科挙を目指す青年が、白ボタンの精とツバキの精との恋を描いた「花の寺」は有名な話だが、森流のアレンジで深みを加えている。ほかに「石を愛して」など。高山辰雄氏の装画も美しい。
 <一言>白蓮教徒のよう術を中心に、その時代を横軸、歴史を縦軸にとって、明末・清初の世相を浮き彫りにした好読み物。
 (A5判、二五〇ページ、ニ、八〇〇円、潮出版社)
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